VoiceOver使用時のiPhoneの日本語入力環境を少しまともにしてみる

投稿: 2011年4月13日

VoiceOverを利用してiPhoneを使っている場合、英語環境ではあまり苦労することなくいろいろなことができるのだが、日本語環境においては漢字変換が難しかったり、読み上げが度々意味不明なものになったりという問題がある。特に正確な漢字変換をするのが事実上不可能なことは重大な問題で、たとえばとても仕事のメールをiPhoneから出すようなことはできない。もし漢字変換がそれなりにちゃんとできるならどんなに楽だろうと思うことはよくある。今のところ、この問題を直接解決する方法はない (知らないだけかもしれない) のだけれど、多少状況を改善することができる方法を試してみた。

その方法とは、TextExpanderというアプリケーションを使う方法だ。このアプリケーション、簡単に言うと略語とそれに対応する単語なりフレーズの組を登録しておいて、略語を入力すると自動的に対応する単語やフレーズに置き換えてくれるものだ。略語は英数字 (とおそらく一部の記号) で入力しなければならないが、対応する単語やフレーズは日本語でもよく、また改行を含む長いものでもかまわない。なので、たとえば「xgreet」という略語に対して:
「中根です。いつもお世話になっております。iPhoneからのメール送信ですので、誤変換などあるかもしれませんがご容赦ください。」
などと登録しておけば、「xgreet」と入力するだけで、この日本語文を入力できてしまうわけだ。「xgreet」としたのは、普通に入力する可能性がある英単語だと、その単語そのものを入力したいときに面倒だという理由だけで、別に何だってかまわない。覚えやすくて短くて入力しやすければ良いと思う。

ということで、よく使うフレーズをじゃんじゃん登録しておけば、それなりに日本語のメールだって書けるようになりそうなこのTextExpander、随分前から試してみたいと思いつつ、有料のアプリケーションなのでVoiceOverで使えるかどうかもよく分からなかったのでこれまで試す気にならなかったのだが、今日何となく試してみたくなって、後先考えずに購入してしまった。その結果、特に問題なくVoiceOverで使えることが分かった。

TextExpanderそのものがVoiceOverで使えたというのは実に良いニュースなのだけど、これだけが使えたところで登録する日本語をちゃんと漢字で入力できるわけではないから、それだけでは仕方がない。実は購入に踏み切ったのは、登録する略語と単語/フレーズの組を書いたテキストファイルを、どこかのWebサーバーに置いておけば、これをインポートできるらしい、ということが分かったからだった。これが可能ならば、Windowsの使い慣れた環境でこのファイルを作れるわけだから、少々手間ではあるけどちゃんと正確な日本語を登録できることになる。ということで、早速試してみた。

この情報を掲載していたサイト (申し訳ないことにあちこち見てたらどこだったか分からなくなってしまいました) には、略語と登録単語/フレーズをタブ区切りで書いて、改行は入れられない、とあった。ということで、とりあえず自分の名前とか、上述したようなメールでよく使いそうなフレーズをいくつか書いたテキストファイルを作ってインポートしてみた。ちなみにテキストファイルはUTF-8で保存した。すると問題なくインポートできた。インポートした内容を編集する画面もVoiceOverで使えたので、改行を追加するなどの作業はiPhone上で行った。

テキストファイルをアップロードできるWebサーバーがない場合どうするのか、という人もいるかもしれないが、その場合はDropboxを使うのが良さそうだ。Dropboxのpublicフォルダにファイルを保存すれば、そのファイルに誰でもブラウザーからアクセスできるURLを取得することができる。つまり、Webサーバーにファイルをアップロードしたのと同じことになる。この方法も、参考にさせてもらったサイトにあったアイディアだ。

しかし、そうなるとDropboxにあるファイルにアクセスして、そこから切り貼りできればいいんじゃないかという気がしてきた。以前ダウンロードしてほとんど使ったことがないPlaintextというアプリケーションをまず試してみたのだが、このアプリケーションの場合、ファイルやフォルダーのリストで、ファイル名やフォルダー名がVoiceOverでは分からないという問題があったので、これを使うのは断念した。 (編集画面については問題なさそうな印象だった 。)

次に、本家Dropboxが配布しているアプリケーションを試してみた。ファイル名の読み上げなど問題ないし、UTF-8の日本語テキストファイルもちゃんと表示され、読み上げられた。ただ、ファイルの内容が表示されている部分が編集可能な領域になっていないため、不可能ではないものの選択してコピーして、という操作がちょっと大変そうな感じだった。おそらくSafariで表示されてるページの一部分を選択してコピーしたりできるような人なら問題なく使えると思う。

それで次に試したのが、Droptextというアプリケーションだ。このアプリケーションでは、ファイル名などの読み上げも問題なく、またUTF-8の日本語テキストファイルの編集も問題なくできた。ということで、PCで日本語文を作製しておいて、それをそのままTextExpanderの登録画面に貼り付ける、ということが可能になったわけだ。そしてこの方法の場合、改行を含むテキストであってもかまわないので、前述のまとめてインポートする方法よりも、登録する内容によっては使いやすいこともあるのではないかと思う。

どういうフレーズを登録するか次第ではあるけど、これで少しは安心して日本語のメールを出すこともできるようになりそうである。