2012年大晦日

投稿: 2012年12月31日

2012年が終わろうとしている。今年もいつものように、1年を振り返ってみることにする。

まず、仕事面では、特に2月から3月にかけてがなかなか大変な状況だった。乗り切れないのではないかと思った瞬間もあったけれど、プロジェクト関係者の多大なる尽力で、どうにかその状況を乗り切った後は、比較的平穏だった。この時期の忙しさというか大変さは、おそらく僕がこれまで経験した中ではトップクラスだった。心身ともに結構厳しいなと思わされる時期がちょっとだけ続いた。瞬間最大風速的にはかなりの忙しさではあったけど、振り返ってみるとそれがさほど長く続かなかったことなんかから考えると、実は4年ほど前の数ヶ月よりは楽だったのだと言う気がする。けど、その時はもうかなりまいっていた。とは言っても、この忙しい時期でさえもそれなりに読書の時間を (無理矢理) 確保できていたらしいことを見ると、どうもこの忙しさも大したものではなかったのだという気はする。

で、読書だが、今年読んだ本のリストを眺めてみると、僕にしてはまあまあの冊数を読んでいる。どうやら今年前半は長嶋有さんに始まって小説ブームが来ていたようで、僕にしては小説の割合が高い。小説の中で印象に残っているのは長嶋有さんの「夕子ちゃんの近道」だ。なにがどう良いのかはよく分からないのだけど、この小説に描かれている人たちの感じとか社会との関わり方の様なんかに何となく惹かれたようだ。

小説以外で印象に残っているのは、ここでも紹介した山崎夏生さんの「プロ野球審判 ジャッジの舞台裏」、堀井憲一郎さんの「ねじれの国、日本」、長谷川英祐さんの「働かないアリに意義がある」あたりだ。そして、小説を読むということに何やら飽きてしまったようで、しばらく中断していた「ローマ人の物語」を最近は読んでいる。

先の読書リストを見ると、9月以降の読書ペースが劇的に遅くなっている。一つには、ローマ人の物語の1冊ずつが長いから、という理由もある (単行本で読んで記録しているので) が、それよりも大きな要因は、アクセシビリティーの情報サイト、AccSellを始めたというものだ。

AccSellは、元々今年の初めに何となく考えていたことが実現したものだ。その時は実現方法なんかは全く見えていなかったのだけれど、春頃に何となく考えた方法、つまり有料メール・マガジンとポッドキャストの組み合わせで結局実現できた。

今のところ、隔週のポッドキャスト配信、隔週のメール・マガジンの配信、不定期にアクセシビリティーに関連するニュース (必ずしも新しくなかったりもするけど) をWebに掲載、という感じで進めていて、9月に始めてからおよそ4ヶ月で、ようやく軌道に乗ってきたような感じがしているところだ。月の奇数週はポッドキャスト、偶数集はメール・マガジンという感じでやっているので、毎週何かしらのコンテンツを作るというパターンになっている。その結果、思いの外読書の時間なんかがなくなってしまっているらしいのだ。

今回それなりにちゃんとできているのは、僕が自分一人だけで何とかするということを最初から試みなかったためだと思う。僕の思いつきに賛同してくれて、一緒に考えてくれるパートナー、メール・マガジンに寄稿してくれる方、ポッドキャストに出演してくれる方、サイトを宣伝してくれる方、そういういろいろな人の気持ちや時間を無駄にするわけにはいかないという思いがあって、これは自分一人でやっている場合にはないことなので、これが大きいのだろうと思っている。そしてもちろん、お金をいただいてサイトを運用しているということが良い意味でのプレッシャーになっているというのも間違いないだろう。

アクセシビリティー関連では、去年2度開催した、アクセシビリティー関連のテーマを決めて、飲みつつ議論する、というイベントを今年は結局一度も開催できなかったというのが心残りだ。情報発信は継続的にやる必要があるのだけど、これとは別に、アクセシビリティーに興味がある人たちの横のつながりをもっと強くしていく必要があるというのはずっと前から考えていることだからだ。ただ、今年はアクセシビリティキャンプ東京というイベントが定期的に開催されるようになったりもしたので、以前ほどはそういう必要性はないのかもしれないけど、そういうチャンスというのは多くて困るものではないので、来年はぜひ1度くらいは開催したいものだ。

さて、1年前に書いたものを読んでみると、今年の目標として、以下のようなことを挙げている。

  1. ブログやポッドキャストを使ってもっと情報発信をする
  2. 自分が将来進む方向性を打ち出す
  3. 国内の視覚障害者のコンピューター・ユーザーを組織化する

1については、この個人ブログが全然更新されないのはどうかとも思うが、重文ではないにしても、AccSellを通してある程度実現できているとして良いだろう。来年はもう少しこちらにも何か書くようにしたいとは思っている。

2については、あまり明確な何かを打ち出せているわけではないけれど、AccSellをやるに当たって個人事業主として届けを出して、何となく自分の中で何かが見えてきたというか、覚悟ができてきたというか、そんな気がしている。

3については全く何もできていないけど、これは引き続き考えて、できれば行動に移したいと思っている。

ともあれ、1年間全体を見ると、とりあえず仕事の大変な状況も乗り切れたし、生活は成り立っているし、そしてAccSellを始められたし、それなりに充実した1年だったと考えて良さそうだ。アクセシビリティーのイベントを開催できなかったこと以外の唯一の心残りは、未だにちゃんと夏休みを取れていないことくらいだろうか。

さて、今年新しいことができたのも、そしてそうでない部分で何とか乗り切ることができたのも、今年出会った皆さん、以前からお付き合いいただいている皆さんのおかげだと感謝しています。2012年も大変お世話になりました。2013年もどうぞよろしくお願いいたします。どうぞ良い新年をお迎えください。